ニュースを見ているとよく聞きますよね。「書類送検されました」と。
この書類送検って一体何なのでしょうか?逮捕とは違うのでしょうか?
ニュースでよく聞くこの書類送検と逮捕の違い、そしてその後に起訴や示談などによる不起訴、前科がつくなどについても流れを追ってまとめてみました。
目次からササッとチェック
警察と検察の違い
まずは、警察と検察の違いについて。
警察も検察もよくテレビドラマで使用されていますね。警察が犯人を逮捕する、取り調べを行う、などはドラマでもよく見かけます。また、検察を主役にしたドラマも多く、キムタクが主演の「HERO」などは有名ですね。ドラマ内でキムタクが取り調べや捜査を行っている場面もよく見ますね。
ん?警察も検察もどちらも取り調べを行ったり捜査をするの?ってなりますが違いは、警察の捜査の後にもう一度捜査をするのが検察となります。では、なぜもう一度捜査をするのか見ていきましょう。
警察の役割
警察の役割は、第一次捜査、被疑者の逮捕、取り調べなどがあります。まず、容疑者と思わしき人に対して証拠を収集し捜査を行います。そして状況証拠が揃った後に逮捕を行います。
逮捕には3種類あり、この捜査を行ってからの逮捕を通常逮捕と呼びます。逮捕はこの他にも捜査を行わないで逮捕する現行犯逮捕、緊急性が必要な緊急逮捕などがあります。
被疑者を逮捕後、警察では48時間以内であれば取り調べを行うことができます。この48時間以内というのは、その後被疑者の身柄を検察に送検する必要があるためで、48時間以降の取り調べは検察がバトンタッチして取り調べを行います。
検察の役割
検察は警察から被疑者の身柄を送検されたのち、24時間以内に起訴をするかどうかの判断をします。
検察は警察が行った取り調べなどの調書を確認し、証拠の整合性を確認し判断を行います。その際に警察にもう一度操作のやり直しを指示したり、自ら操作を行うなど状況証拠をより明確に検討します。
起訴、即ち裁判をするかどうかの最終判断を行うのが検察となります。
裁判のときに、裁判官の両端、弁護士とよくやり合っているのが検察になり、裁判で罪の調書を伝え訴追する役目を行います。
拘束期間は限られている
裁判を行って有罪と認められるまでは”罪が確定していない=無罪”ですので「推定無罪」という判断の基、逮捕した被疑者をいつまでも拘束しておくことはできません。そのため、警察では逮捕後48時間、検察では逮捕後72時間(例外あり)という期間までにそれぞれ判断をしなければいけません。
警察だけではなく検察が最終的な起訴の判断を行うことでより無罪の人に罪を被せないようにしていることもいえるのではないでしょうか?
書類送検と逮捕の違い
項目 | 内容 |
---|---|
逮捕 | 逃亡・証拠の隠蔽などがある場合に身柄を拘束すること |
書類送検 | 逮捕せずに警察から検察へ調書等の書類を送ること |
さて、本題の書類送検と逮捕の違いを見ていきましょう。
書類送検されると逮捕されないの?なんで逮捕とは違うのか?その点を見ていきましょう。
逮捕は身柄を拘束すること
逮捕というのは、警察等の留置施設に被疑者の身柄を拘束することを指します。通常、罪を犯した人は警察に捕まらないように逃走をすることや、捕まったときに証拠を残さないように隠蔽することを考えます。
逃走してしまうとその後に検察に送致や裁判を起こすことができなくなってしまうため、被疑者が逃走を行わないように逮捕します。また、証拠を隠蔽してしまう前に身柄を拘束するということでその後の捜査を行いやすいようにすることにもなります。
上でも述べたように逮捕には通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕があります。
犯罪の現場を目視していない通常逮捕の場合、誤認逮捕とならないようにまずは裁判所に被疑者を逮捕してよいか逮捕令状を求めます。裁判所は警察からの状況証拠等を確認し逮捕しても問題ないと判断した後に警察に令状を発行し逮捕へと導きます。
書類送検は逮捕はしない
書類送検とは、警察が状況証拠等捜査した内容を記載した書類を検察に送ることにあたります。
逮捕とは身柄を拘束することです。しかし、被疑者が逃走の恐れがなかったり、証拠の隠蔽がない、軽微の罪だった場合は逮捕しないこともあります。
これは逮捕、捜査段階で罪を認めたということもあったのでしょう。
ちなみに一度逮捕され、警察が身柄を釈放することもあり、そういった場合は在宅事件となり書類送検することになります。逆に書類送検後に逮捕の必要があると判断されれば、その後逮捕されることもあります。
その後に起訴される?不起訴への道
不起訴になる可能性として、事件の相手側と示談が成立しているなどがあり、検察側もその点を憂慮して不起訴にすることもあります。
起訴になるのと不起訴になる、その境目とは一体どういったことがあるのでしょうか?
20日間の勾留期間
通常、検察は逮捕後72時間以内に起訴をするか不起訴にするかを判断しなけれないけません。しかし、捜査の関係上、時間が足りず起訴までの判断ができない場合があります。その場合、検察では裁判所に勾留期間の延長を求める請求を行い、裁判所から認められると最大20日の勾留延長が認められることになります。
実質、検察では24時間以内での判断になるため。20日の拘留が伸びることで捜査の進展は大きく変わることでしょう。
もし拘留された事件との結びつきがあまりない別の事件に関わっていることが分かった場合、一罪一拘留の原則により、さらに勾留期間が延長が認められることもあります。
不起訴になる場合とは?
項目 | 内容 |
---|---|
嫌疑なし | 犯罪を犯していないと認められた場合。真犯人が捕まる、犯罪とは認められない要件など。 |
嫌疑不十分 | 犯罪を犯した可能性はあるが確定的な証拠がなく起訴できない場合。 |
起訴猶予 | 犯罪は犯したが起訴するほどでもないとき。示談の成立や再犯の可能性が低い、軽微な犯罪、社会的にみても反省している。 |
不起訴になる場合は主に3つあり、検察の判断で被疑者に犯罪性がないと認めた【嫌疑なし】、犯罪を犯した可能性はあるけども決定的な証拠がない【嫌疑不十分】、犯罪は行ったが軽度の犯罪や再犯の恐れがないということで起訴しない【起訴猶予】などがあります。
どれも自分ひとりで解決することは無理ですので、弁護士を依頼することが不起訴になる可能性を高めることになるでしょう。相手方と示談を成立させるのも弁護士が必要になるでしょうし、示談が成立することで起訴猶予となり不起訴になる可能性が高まります。
前科はつくの?
前科がつく場合は、起訴され裁判を行い有罪判決を受けることで初めてつきます。つまり、不起訴となった場合は前科がつくことはありません。しかし、前科はつきませんが、前歴はつきます。
前歴とは検察へ送検された時点でつくものになるため、不起訴になっても前歴がつくことになります。一度前科や前歴がついてしまいますと本人が亡くなるまで消えることはありません。
とはいえ、その情報を個別入手することはできず、あくまで逮捕後等の報道で事実があったことを知ったときに確認できるものですので、一般人の場合はよほどのことがない限り前科・前歴はわからないでしょう。
書類送検と逮捕の違いまとめ!
今回は書類送検と逮捕の違いについてまとめました。
逮捕とは逃亡や証拠の隠蔽を計らないように身柄を拘束することで、罪を起こした人が必ず逮捕されるわけではありません。裁判を行うかどうかの起訴・不起訴を判断するのは検察であるため、逮捕されてもされなくてもその後は検察へ送検されることになり、逮捕されずに検察へ送検されることを書類送検と呼びます。
起訴され有罪の判決が下れば前科として残ることになりますが、不起訴となった場合などは前科がつくことがない変わりに前歴がつき、別件で逮捕等されたときの情状証拠となります。