シュールストレミングなるものはご存知でしょうか?!
どこかでなんとなーく聞いた事があるなぁという方もいれば、バラエティ番組でよく見かけるあれでしょ?という風に既に存在をご存知の方もいるはず。
今回はそんな、化学兵器や殺人兵器との悪名も名高きシュールストレミングの実態に迫ってみたいと思います。
シュールストレミングとはどれほど臭いのか、そしてその食べ方や購入方法、お値段もご紹介します。
目次からササッとチェック
シュールストレミングとは?
シュールストレミングとは、簡単に言えばスウェーデン発祥の発酵保存食品です。
一般的には『世界一臭い食べ物』として知られています。
その強烈な臭いから、バラエティ番組のネタや罰ゲームなんかで使用される事が多いシロモノですね。
最大の特徴は酷すぎる臭い(※動画閲覧注意)
シュールストレミングとは缶詰の食品(一応)なのですが、特徴的過ぎて他に感想がぶっ飛ぶくらいの特徴は、その臭いです。
実体験によると、ドブの悪臭がするとか、全然掃除されていない真夏の公衆トイレ並か、それ以上の体が拒絶する臭いがするそうな…。
大袈裟に書き過ぎじゃないかって?それでは、こちらの動画をご覧下さい…どれだけキツい臭いなのかを投稿者の方が紹介してくださっています。
ちなみに、度が過ぎる悪臭対策の為に家の外などで開缶するのが断然おすすめなのですが、外で開けると即ハエなんかの虫がたかってくるんだとか…もう嫌だ。
恐ろしすぎるシュールストレミング
…シュールストレミング、本気で恐ろしいですね。筆者は割と鼻が利く方で臭いに敏感な為、この先の人生で最も出会いたくないものの1つになってしまいました。
実際に動画で見て頂くと分かりやすいのですが、シュールストレミングの中身は魚です。更に言うと、塩漬けにしたニシンです。
このニシンの切り身が1缶に大体20枚くらい、汁と共に入っています。
ちなみに切り身のサイズは約10㎝程度との事なので、それなりにデカいですね。1人で完食するのはかなりの苦行です。
シュールストレミングはスウェーデンのソウルフード?
シュールストレミングのスペルは『surströmming』。スウェーデン語の”sur(酸っぱい)”と”strömming(バルト海産ニシン)”が組み合わさってできた言葉です。
ではシュールストレミングといえど、発症の地スウェーデンでは人気のソウルフードとして親しまれているのかと言うと、全くそういう訳ではない様です。
主に北部の方で食べられているそうなのですが、現地の方でもシュールストレミングを受け付けない方はかなりいらっしゃるそう。
それを聞いてちょっと安心しました…。
どうしてシュールストレミングは臭いのか…
しかし不思議に思いませんか?どうしてシュールストレミングは悪臭を放っているのかと。
普通の缶詰食品はそんなに臭いは強烈なイメージはあまりないものですよね。
他に臭いのキツい食品と言えば、身近な所では納豆や干物の”くさや”が思い浮かびますが、シュールストレミングの臭いも実は原理は同じ”発酵”でした。
シュールストレミングは発酵が続いている…
日本にも多種多様な発酵食品がありますし、それなりに臭いがキツいものもありますよね。
発酵は一概に悪いものではないのですし、発酵食品にはメリットも沢山あります。
しかし、シュールストレミングの悪臭の原因とはまさに発酵…実は缶詰されてからも缶の中で発酵し続けているんです。
シュールストレミングとは厳密には缶詰じゃない?
シュールストレミングがどうして発酵し続けているのかというと、生産の工程の中で殺菌がされていないのが原因です。
つまり、殺菌がされていないので菌は生き続けており、発酵が缶に詰められてからもどんどん進むという訳。
ですので、シュールストレミングの缶を放置していると、発行によって炭酸ガスが発生するので、缶がどんどん膨張します(同時に分解も進んでいます)。
ちなみに日本では、缶詰食品は保存食として、行程の中で必ず加熱殺菌をしなければならないと定められているので、シュールストレミングは”缶詰”とは見なされません。
シュールストレミングとは保存食…だったのだが…
さて、シュールストレミングは歴史あるスウェーデンの保存食です。シュールストレミングが生まれたのにはスウェーデンの厳しい自然環境がありました。
スウェーデンの国土は北欧のスカンディナビア半島。極寒の国なので殆ど農業には向かない土地です。その為、特に冬場の食糧を確保するのは大変困難な事でした。
ニシンは沢山獲れたので、それを保存食にしようとするものの、スウェーデンでは塩も貴重なものなので塩漬けするにしても塩を沢山使う事はできませんでした。
塩を精製するのに必要な、充分な太陽の光熱や多量の薪にスウェーデンは恵まれていなかったのです。
塩を節約した結果生まれたシュールストレミング
ですので、ニシンを塩漬けにして保存食にする際には、塩を節約した薄い塩水や海水で漬け込むしかありませんでした。
これによってニシンの腐敗は何とか防げたものの、発酵まで抑える事はできなかったんです。
その結果、シュールストレミングはいつまでも発酵が進む為、食物が腐敗する時に必ず放つ悪臭の元となる臭い成分が含まれているという訳なんです…。
ちなみに、塩を節約して作られているとは言ったものの、シュールストレミングはかなり塩が利いているので、相当塩辛い味をしています。
シュールストレミングの食べ方
ここまで読んでも尚、シュールストレミングに挑戦してみたいという猛者もきっといるかもしれませんので、次はシュールストレミングの食べ方もご紹介しておきましょう。
相当強烈なシロモノですが、れっきとした食べ物です。食べる際には自己責任でお願いいたします。
食べ方1 きちんと食べたいなら発酵をなるべく抑える事!
中にはわざと発酵を進めて、缶を膨張させてから開けるという方もいらっしゃいますが、きちんと食べたい場合は発酵をなるべく抑える事が大切です。
事前に冷蔵庫で冷やしておくなどして、缶の膨張を防ぎましょう。
炭酸ガスが発生しまくって、パンパンに膨張した缶を開けるとなれば…後はお分かり頂けるかと思います。
食べ方2 缶を開けるのは屋外or水中で!
屋外であればそのまま開けても良いのですが、部屋の中であれば特に、臭いの拡散や中身の飛散を防ぐ為にも、缶は水中で開けましょう。
たらいやボウルなんかに水を張って、その中で開ける様にします。
この時、換気扇を必ず回す様にして下さいね。換気扇は調理中や食事中もずっと回しっぱなしにするのがおすすめです。
食べ方3 よく流水で洗ってから解体
次に、中の汁を捨てつつ流水で魚の身をよく洗い流します。しっかりと洗う事で悪臭が軽減できます。
洗い終わった身は解体して、骨や皮などの食べられない部分を取り除いてください。
後はお好みの食べ方でシュールストレミングを味わうだけ。
おすすめの食べ方としては単体で食べずに、好みの具材と一緒にパンやクラッカーなどに乗せる食べ方です。
シュールストレミングの購入方法とお値段
それでは、シュールストレミング気になるお値段と、その購入方法についてもチェックしていきたいと思います。
くれぐれも軽はずみに購入して後悔する事は避けてくださいね…!
シュールストレミングのお値段は?意外とお高い!
シュールストレミングのお値段は、1缶5000円~7000円程度と結構高額です。
ちなみに内容量は300gとの事。お値段的にも気軽に購入できるものではなさそうですね…。
この高額の値段の理由ですが、シュールストレミングは船舶輸送しかできない事も理由になっているのではないかと考えられます。
航空便で輸送すると気圧で缶が爆発する恐れがあるので、大惨事が起こるのを防ぐ為、現在は時間のかかる船舶輸送でしか輸入ができないそうです。
シュールストレミングの購入方法は?
シュールストレミングは現在ネット通販での購入が可能です。
お馴染みの通販サイト、Amazonや楽天をはじめ、輸入品や缶詰の通販サイトでも取り扱われています。
やはりAmazonや楽天で購入するのが最も手軽でしょうか。
時期によっては品切れになっていたり、届いた時には缶がすでに膨張していたりする可能性もあるのでご注意くださいね。
余談:オランダの塩漬けニシンは絶品で美味!!
さて、シュールストレミングとは世界一臭いニシンの塩漬けという事でしたが、ニシンの塩漬けは必ずしもマズいものではないんです。
なんと、シュールストレミングに反して、オランダの塩漬けニシンは絶品で大変美味しいのだとか!
ここからはオランダの美味しい塩漬けニシンをご紹介していきます。
オランダの美味しい塩漬けニシン『ハーリング(Haring)』
オランダの代表的な食べ物、ニシンの塩漬けをハーリングと言います。シュールストレミングが悪名高いのに対して、こちらは絶対おすすめの名物料理として有名です。
ハーリングは1日塩に漬け込んだニシンを塩抜きして、そのまま頂くというお料理。日本のお刺身に近いので、日本人であれば抵抗なく美味しく食べられるはず。
同じオランダでも、地域によって少し食べ方は異なるのですが、大体は玉ねぎのみじん切りやピクルスなどがトッピングされています。
頭や内臓、骨は予め取り除かれているので、とても食べやすいのも特徴です。
同じニシンなのに…どうしてこうなった
ハーリングは5月末~6月初め頃に、デンマークやノルウェー沖の海で獲れた旬のニシンを使っています。
この時期のニシンは卵や白子に栄養が行っておらず、身に脂が乗っていて美味しいんです。3週間という短期間にしか獲れない旬のニシンなので、それだけ貴重でもあるんですね。
ちなみにオランダは14世紀頃から、このニシンの塩漬けの貿易でかなり稼いできたという歴史があります。
土地柄や背景が全く違うとはいえ、シュールストレミングとハーリング、同じニシン料理なのに天国と地獄の体現みたいだ…。
オランダ人は皆大好きなハーリング
ハーリングはオランダで年中食べられているのですが、特に旬なのはもちろんニシン漁が解禁され、塩漬けが作られる6月の初め頃。
初物のハーリングが発売される解禁日は首を長くして待たれていて、なんとお祭りまで開催されるそうなんです。
この時のハーリングには、競りで塩漬け1樽に数百万円ほどの値段が付けられるとの事、驚きですね。
このハーリングはまずオランダ王室に献上されてから一般に解禁されるのですが、この王室御用達のニシンは意外に低価格で購入する事ができます。
日本からでも通販で購入できますので、ぜひ味わってみて下さいね。(正直シュールストレミングよりもおすすめです…。)
シュールストレミングとは?臭いや食べ方のご紹介と値段・購入方法まとめ
という訳で、今回の記事ではシュールストレミングについてご紹介いたしました。
書いていてひしひしと感じましたが、筆者は今後の人生で一切シュールストレミングとは関わりたくないです。心の底から。
皆さんもどうか遊び半分で購入して後悔されない様にしてくださいね…そんなにお安いお値段という訳でもありませんし。
購入するならハーリングの方が断然おすすめですよ!